【内容】
第1章 「食の安全」が世界を変える
――〔連邦バイオテロ法〕の誕生とその仕組み
1.グローバル化する食の生産・流通――厳しい安全対策にわが国への影響は
2.進む「バイオテロ」と政府の闘い――食品テロを起こすのは簡単!?
3.狙われる食品産業と農業――大被害を与える最重要インフラとして
4.「連邦バイオテロ法」制度の中身――ポイントとなる法の四つの柱
5.テロ対策に向けた食産業への課題――より安全に、よりスムースに
6.官民に問われる食品検査能力――消費者の要請に応えられるか
7.国際輸送に多い誤解の解消へ向けて――理解が進みにくい異文化間の輸送
8.日本の進むべき方向――世界税関機構の動きに注目
第2章 「毒物混入から異物混入まで」
――大事件・大事故に学ぶこれからの企業の危機管理
1.食の危機管理とは 多様な発想と先手の備えが鍵―――「怪人二一面相」はテロリストだったのか!?
2.アメリカの毒物混入事件――ピンチの中から攻めに出る!
3.「グリコ森永事件」に立ち向かうトップの苦難と哲学――“情報開示と企業倫理こそが危機管理の鉄則”
4.トップの夢を砕いた悲劇の重なり“グリコ森永事件から日航機事故へ”――「一刻も早い救出」へ向けて
5.雪印乳業事件と危機コミュニケーション――対メディア戦略と危機管理
6.和歌山カレー毒物混入事件の教訓とは――「空白の時間」を防ぐためには何が必要か
第3章 食品衛生法の行方と新体制
――HACCPの始まりにみるわが国の受け入れ事情
1.これからの食安全問題の潮流――フード・セーフティーからフード・セキュリティーへ
2.製造物責任制度(PL法)誕生の影響――ISOやHACCPとの関係は?
3.食品衛生法改正をめぐる時代背景――急かされた総合衛生管理基準の制度化
4.わが国のHACCP導入の経緯―国際商品「水産物」から始まった
5.HACCPへの理解の難しさ――導入を阻む日本の第三者認証制度
6.総合建設、食品機械産業の活躍――他産業がHACCPを推進
7.「生産性向上運動」VS. HACCP――万が一のために多額の投資ができるか
8.国境を超えるリステリア事件の衝撃――O-157以上の致死率を放置する!?
9.グローバル化に向けた情報ネットの構築――国際的な流れを常に調査、研究せよ
10.大変革を乗り切る強力な新「安全」システムを!――日本型ガバナンスの課題
第4章 民間・産業主体の「鉄壁の防御」は可能か?
――企業の主体的取り組みと実践の鉄則
1.加工から流通まで安全を護る責任――産業人の徹底的な実践行動のために
2.食の安全を護る、企業・工場の実践バイブルを解く――加工業、流通業、小売業の食安全マニュアル
3.厳しさを増す社会的任務と法的責任――流動化する消費者意識
4.異業種連帯のネットワークとアライアンス――原料〜加工〜配送の抜かりない連繋
5.急速に広がる国際的危機管理の必要性――深刻、大規模化する災害危機
6.情報公開と秘密保持との緊張関係――秘密主義の蔓延が生む弊害
第5章 現場監査システムの確立で安全へ前進
――官民連繋した検査機構で消費者から信頼を
1.軍開発の手法を応用した体制評価システム――「カーバー・プラス・ショック」とは
2.介入か支援か。企業秘密と主体性――緊急時のために、どこまで個別評価を公表するか
3.先手予防へ広げるアンテナと感知網――サーベイランスシステムの必要性
4.BSE問題の要となるこれからの検査機構
5.司法を配した制度の点検、防衛――科学的根拠、安全性評価や倫理性について
6.国民の信頼は官の無形資産――GMO食品やBSE問題の深刻化を防ぐ
7.食品安全行政の一元化は可能か――文化や哲学の異なる組織合流の難しさ
第6章 大規模犠牲者時代の危機管理戦略
――事件が大量の被害者を生む危険
1.万全の事後処理が被害の最小化を可能にする食の安全と検査――犠牲者を一人でも減らすには
2.大規模被害時代こそ疫学を――集団調査から原因を統計的に探る
3.10年を迎えた二つのO-157事件跡――最低の悪名から最高評価を勝ち取った米企業
4.輝いていた雪印乳業の事件前と、後――HACCPと企業対応のあり方
5.物質特定が原因解明のすべてでない――病因物質の判定待ちという失敗
6.現場での検査、分析が原因究明の生命線――事件当事者企業こそできる迅速な検知
7.食中毒統計法の日米比較――原因未解明でカウントする根拠
8.病院窓口のデータから発覚する異常事態――地域情報がはたす早期サーベイランス
9.「トリアージ」への挑戦に耐えられるか――患者の優先順位という考え方
10.緊縮経営の都市病院に降りかかる悪夢――突然に大量患者を受け入れられるか
11.「緊急招集」が教えるインフラの意義――オウム事件での病院の事例にみる
12.最悪事態に迎え撃つ「サージ・キャパシティー」――大パニックへの軍隊活用は可か否か
13.超微小現象を可視化するIT技術――国際競争の焦点はバイオとITの融合化
14.最後には、組織総合の力と地域の力――物流ももつ食品産業こそ生命維持の要
15.いのち、安全を国は護ってくれない――識者の著書の引用から
第7章 バイオ・アグロテロの正体とその威力
――生命を守るため、農(生産)と食(製造)の壁を越えて
1.加速するアグロ・セキュリティー対策の意味は――脅威の克服へ向けて今こそ農と食の連帯へ!
2.食の国際化=テロの国際化――バイオ・アグロテロ被害は海を越えて
3.「バイオテロ活動研究報告」の波紋――もしも牛乳に毒物が混入されたら被害は?
4.はたして有効な対策はあるのか!?――食安全確保への強固な基盤作りを
5.農業生産者が担う安全対策――生鮮食品に課された「適正農業規範(GAP)」
6.先端科学技術で農村まで監視の目――飽くなき安全実現への追究
第8章 「産業破壊」をどう防ぐ
――国の経済基盤の崩壊・破壊を狙う
1.アグロテロリズムの打撃――微小生物を利用した作物・家畜への甚大な攻撃
2.シミュレーション演習と訓練でフォロー――予測不能な攻撃被害を想定内にとどめる
3.英国の大量廃棄シーンの衝撃――FMD感染の惨劇を直視できるか
4.アグロテロリストの真の思惑にハマるな――精神打撃、経済損失を最小限に
5.政策転換を迫られる畜産貿易体制――感染症有無で分かれる国際ルール規制
6.米国がリードを誇る基幹技術――遺伝子操作による新生物にも対抗できるのか
7.GIS地理情報システムの実力――リアルタイムのデータ提供による効用
8.モノの軌跡をマークする――その製品はどこから来て、どこへ行ったか?
9.難解な問題、予算、人材、組織作り――日本は参考となる資料や文献さえわずか
第9章 安全を守る番人、「検査」の役割
――国境を越える「監視社会」の光と影
1.輸出国任せの日本の食安全――海外の検査機関に左右されるわが国の現状
2.今こそ検査官、監査法人制度の大転換を――問題を残したその歴史的背景
3.海を越えて深めよ、検査業務の相互理解――海外との意見交換で検査体制を見直す
4.「規制緩和」と「民間開放」の今後――監査人員は削るべきでない
5.甘い日本の検査システム――耐震強度偽装事件から反省すべきこと
6.イラク開戦のブラックホール――見つからなかった生物兵器
7.小口化・多種類化でより必要な専門的知見――輸入食品の全安全を背負う水際の番犬役
8.海外への検査官派遣の難しさ――監査に対する各国の認識のギャップ
9.エスカレートする監視社会――監視カメラで犯罪は防止できるのか?
10.米国の食現場にみる監視の姿――確かな防御システムと実践
11.公益通報者保護法の意義――政府は内部告発者を守れるか
12.新会社法での内部統制の義務づけ――内部告発は大事故発生をも防ぎ得る
第10章 遺伝子組換え食品をめぐる葛藤
――組換え技術に立ちはだかる不安・不信の壁
1.台頭する遺伝子組換え技術の国際的影響――世界で深化する対立の構造
2.GMOを受け入れにくいEUの事情――米国社会との歴史的文化的ギャップ
3.不安と不信は国境を超えて伝播する――科学技術問題を政治の場に露出せよ
4.生物科学界に、もっと権威を!――先手を打って世の関心を呼び覚ます
5.日本のバイオ産業でのホープは?――出遅れた生物産業を伸ばすために
6.優遇されるバイオ研究とその課題――対照的な医薬品バイオと農業バイオ
7.食糧の海外依存国がとるべき態度――無視できぬ途上国のGMO問題
8.先進他国と意識の温度差を埋める施策――異端・異脳・異分野の旗手が与えるパワー
9.海外市場をにらんだ種苗法制定の意義――新品種を生み出す育種家に知的財産権を
10.国内品の付加価値化で輸出を攻める――種苗法がもたらす戦略的ブランド化
11.巨大企業が与える心理的影響と責任――フロンティア企業モンサント社の変貌
12.多国籍企業による種苗パイオニア買収劇――化学会社による農業への支配
13.GM作物開発にかかる期待と制約の条件――公的研究機関の役割と限界
14.バイオメジャーと穀物メジャーをめぐるドラマ――産業の壁を越える巨大企業の合併・統合
15.種子情報まで記録できるGIS技術――精密農業による適正な安全管理
16.農場から始まるIPシステム化――「種子から皿まで」の安全と信頼
17.規制は世界を変える――GMO食品のラベル表示義務のあり方
18.ベストの選択を模索する流通産業――フードチェーン中流からの視点
19.GMOに対抗する「有機食品」の飛躍――「安全」という付加価値を勝ち取って
第11章 食安全・公衆衛生での国際貿易の展開と課題
――世界の司令塔を取り巻く新情勢と今後の行方
1.WTOと立ちはだかる三つの難課題――産業の高度化、急成長への代償
2.WTOと貿易、食安全の舞台裏――筆者の学んだ裏方事情とその演技者の姿
3.紛争処理システムこそ心臓部――DSUにより開かれた紛争解決
4.「予防原則」での米国とEUの確執――問われる! 日本はどちらか?
5.WHOの国際保健規則改定への道のり――緊急に改定前倒しに至った経緯
6.国際的な感染症への対策法制の新しい枠組み――コレラオンリーから新興感染症、食品テロへ
7.貿易と食安全、今後の新しい課題――テロの脅威は先進国のみならず
8.WTOの貿易ルールとWHOの公衆衛生ルール――科学的根拠と予防原則、はたして両立は可能か
9.非政府組織にも情報源を求めよ――バイオ食品テロと闘うグローバル・ガバナンス
10.現段階での不確定要素――十数年後はどこへ行き着く?
第12章 悪化する国際政治の中のテロの脅威
――これでいいのか日本の危機管理と安全対策
1.同時多発テロが変えた国際政治と日本の安全――アジアの冷戦はまだ終わっていない
2.テロとの戦いの時代を迎えて――「次の標的は日本」か
3.日本社会の弱点と脅威――不透明なバイオテロ研究分野
4.日本はテロの先進体験国――リーダーの認識は?
5.ハリケーン・カトリーナに学ぶ――クローズアップされた食品・飲料産業の活躍
6.受け入れられない救援の申し出――海外からの支援はいらない!?
7.FEMAに何が起こったのか――わが国にも「危機管理庁」は必要か
8.国際港湾と海運――今、食料輸入の生命線を護れるか
9.信用できない者は物流管理に近づけない――石油資金がセキュリティ産業投資に向かう
第13章 バイオ先端科学と政治のドラマ
――フードポリティックスからバイオポリティックスへ
1.自治体はGMO規制の方向へ――ブランドイメージを護るために
2.海外にみるGMO栽培への反応と動向――揺れ動く自治体と住民・生産者・企業の姿
3.コメ生産の頂点に立つ新潟の世界戦略――『新潟県民会議』議事録より新潟の稲作産業の進むべき方向は?――報道が世の中に与える影響力
4.食と農の科学技術が政治をも動かす――科学と政治はもはや切り離せない
5.フードポリティックスとは――「安全と健康」をめぐる政治戦略
6.科学技術への政治参入の難点――あいまいな知識は大混乱を招く
7.求められる立法機関での独立評価機構――会計検査院GAOの活動
8.情報収集の遅れがもたらすダメージ――独立したシンクタンクの役割
9.遺伝子資源収集保存の必要性――民間企業の参入が転換の拍車をかける
10.バイオ研究機構立ち上げの奮闘――利根川博士のノーベル賞受賞も影響?
11.植物新品種開発の成果を知的財産に――特許制度にならった種苗法改正と整備
12.国会に望む科学政策先導の大役――先端科学技術は国際競争と直結する
13.これからのバイオ外交――リスク評価や認知にも文化差あり
14.拡散するバイオ技術の開発――困難を増す組換え技術の世界的な管理
15.バイオテロの封じ込めは可能か――悲観的な米国シンクタンクの報告
16.米国リーダーのとらえ方と対応――遺伝子組換え新生物の脅威に対して
17.P四施設隔離実験施設は不要か?――ウイルス検査を海外に依存 |