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2010年7月号掲載

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GFSI(Global Food Safety Initiative)は何を目的にどのような活動を行っているのか、現在の課題と今後の方向性を含め解説する。
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【解説】
イオングローバルSCM(株) SCM改革部 部長
Cenk Gurol(ジェンク グロル)氏
●プロフィール
1970年生まれ、トルコ出身。ミドルイーストテクニカル大学 工学部 食品加工工学科(トルコ、アンカラ)、オールドドミニオン大学 商学部 マーケティング(フランス、リオン)卒業、国際大学 国際経営学研究科 MBAプログラム(新潟県)修了後、1996年ジャスコ梶i現イオン梶j入社。00年WWRE e-Procurement Development Team(e-調達開発チーム)イオン椛纒\(米国バージニア州 アレクサンドリア)、01年イオン蟹Tグループ本部 B2Bチーム Strategic Initiative Manager、03年B2B推進部 プランニンググループマネジャー、06年DIMS&効率化グループマネジャーを経て、06年より現職。 |
◆GFSIとは何か
GFSIは消費者の食品安全に対する関心が高まる中、フードビジネスにかかわるCEOグループの要請を受け、00年5月、CIES年次総会において発足した非営利財団である。世界規模で展開している小売業のCEOたちは、相次ぐ食品事故を受け、食品安全性を向上させ、消費者の信頼を強化させる必要性を認識。グローバルな食品安全規格を統一し、フードサプライチェーン全体のコスト効率を改善させようと、GFSIを発足させた(図1)。

今までのフードサプライチェーンの在り方は非効率で高コストでありながら消費者の食品安全ニーズに応えられなかったため、共同でお互いに推進する規格を比較しベンチマーキングすることで互換性を図ることを目指した。このプロジェクトはThe Consumer
Goods Forum(以下、フォーラム)によって運営されているが、ガバナンスは独立している。
ちなみにフォーラムは09年6月、CIESフードビジネスフォーラム が、グローバルCEO、グローバル・コマース・イニシアティブ (GCI)と合併し、The Consumer Goods Forumに名称変更された。フォーラムの概要、組織、活動内容は図2〜4に紹介する。



GFSIの使命は「消費者に安全な食品を確実に提供するために、小売り・メーカー・検査機関・行政などが協力し合って食品安全マネジメントシステムを継続的に改善させること」であり、具体的には次の3つの目標がある。
@食品安全管理規格の収束
GFSIガイダンス文書と比較し、適合した食品安全規格をGFSI承認規格とする。
A食品サプライチェーン全体の費用対効果の向上
世界中の小売業者がGFSI承認規格を共有し、認めることにより費用を削減する。
B食品安全ベストプラクティス・情報のネットワーク構築、知識交換および共有
独自の国際的なステークホルダーの基盤を提供する。
つまり、「食品工場審査の世界的統一規格を作る」ことが最大の目的で、次のようなメリットを得ることができる。
メーカーのメリット▼工場審査の回数を減らすことができる/小売業ごとに掛かる工場審査費用の負担がなくなる
小売業のメリット▼安全レベルが統一される(食の安全のインフラ化)/工場審査のコスト削減・工場審査の精度の統一が可能
◆GFSIの組織体制
実際にGFSIはどのような組織体制でビジョンに向かって取り組んでいるのか。GFSIの組織は、ボードの下に3つの作業部会があり、さらにその下にサブグループが設立されている(図5・図6)。諮問委員会は、学会、NGO、政府の関係者で構成され、10年2月に設立されている。


一つ目の部会は、食品安全ベストプラクティス/ベンチマーキングワーキンググループである。各規格とのベンチマーキングおよび検討実務を実施している。10年からサプライチェーンの食品安全について取り組み始めた。GFSIの実務部隊がテクニカルワーキンググループで、当社もメンバーとなっている(図7)。

二つ目のグローバルマーケットワーキンググループでは、中小企業向けのステップアッププロセスおよびツールを開発している。これは、実際に中国やエジプトなどで実証済みである。
三つ目のコミュニケーション・行政関係ワーキンググループは、コミュニケーションパッケージを作成し、エリア別コミュニケーション戦略を確立してGFSIのグローバルおよびローカルリーチを達成する部会である。
◆ワーキンググループの活動内容
3つのワーキンググループがどのような活動を行っているか、詳しく紹介する。
@食品安全ベストプラクティス/ベンチマーキングワーキンググループ
GFSIでは、GFSIベンチマーク基準を承認する企業を増やすことで、食品工場の審査基準の世界統一を目指している。現状、多くの食品メーカー、小売業がそれぞれの工場審査基準を使用し、製造工場を審査している。これにより、食品製造工場にとっても、その工場の製造委託工場にとっても、大きなコストが発生する。
現在、GFSIでは9つの工場審査規格を承認している。以前はBRCやIFS、Dutch HACCP、SQFと4つの規格しか承認されていなかったが、現状では9つに拡大し、FSSC22000などISO22000ベースの規格も3つ承認された(図8)。ベンチマーキンググループでは、この工場審査規格の新規認証のための取り組みを行っている。

07年に図9の8グローバル小売りがGFSI承認規格に関して合意し、どの規格で監査を受けても認めることを宣言した。この9つの工場審査規格の中で、どれでも一つ認証を受ければ、相互に承認するということで、食品メーカーや小売業は世界のシェアを拡大している。この拡大のためのアプローチ活動をGFSIは進めている。
GFSIでは、食品工場審査基準を統一するために、ベンチマークの要求事項をガイダンスとしてまとめている。そのガイダンス文書の第6版がまもなく発表される予定である。
ISO22000の認証については、国ごとに審査員のレベルの違いが発生する可能性があり、審査員の力量を一定に保つ必要があると考えられている。そのため、ベンチマークスキームオーナーが審査員を指導することにより力量を一定に保つ取り組みが不可欠といえる。
今後、相互認証する審査基準はさらに拡大する方向性にある。しかし、GFSIのステークホルダーの皆さまから、工場審査基準を一つに統合してほしいとの要望もある。相互認証を広めながら、どのように一つに取りまとめていくか、という相反する2つのテーマにGFSIは取り組んでいかなければならない。
Aグローバルマーケットワーキンググループ
グローバルマーケットワーキンググループでは、発展途上国や先進国の小さい規模の工場で製造される商品の食品安全に対する取り組みを実施している。イオン兜i質管理部はこのグループに所属し、GFSIと一緒に世界規模での食の安全の取り組みに参加している。
発展途上国の工場や小規模の工場では、GFSI基準の食品安全マネジメントシステム認証を一度に取得するのは困難である。しかし、サプライチェーンがグローバル化している今日、世界的規模での食の安全に対する取り組みは不可欠になっている。
このグループでは、共通の教材・ツールなどを作成・使用することで、工場の食品安全担当者の食品安全に関する知識を3段階で身に付けさせ、工場の食品安全管理レベルを向上させ、最終的にはGFSIの食品安全マネジメントシステム認証取得までのレベルアップを支援するという取り組みを展開している。
学習ツールとして米国ミシガン州立大学と提携したeラーニング、世界の食品専門家が作り上げた段階別の工場への要求事項とチェックリスト、さらに評価ガイドラインなどを用意している。
09年にエジプトと中国で実施されたパイロットプロジェクトを経て、今年は9カ所でのパイロットプロジェクトを実施予定である。イオンもイオンマレーシア鰍ノおいて本パイロットプロジェクトに参加している。
ワーキンググループの取り組みメンバーは年々拡大している。地球規模の安全を目指し食料供給の拡大を図る視点から世界銀行が資金提供し、途上国が先進国へ輸出する際に食の安全が貿易障壁になることを避ける視点から国際連合工業開発機構(UNIDO)が参加している。
グローバルマーケットでは、GFSI食品安全マネジメントシステム認証取得前の、第1段階・第2段階の取り組みを推進しており、その過程の審査を誰が行うかの協議が行われている。また、先進国から審査員を派遣するとコストが高くなるという問題がある。現地で審査を完結することが必要だが、その審査員の力量向上にどう取り組むかという課題もある。そのためには、サポート内容を充実させなければならないだろう。
さらに、多くの食の安全の専門家を発展途上国で育成する必要がある。それに対しては、ツールの開発や多言語化への取り組み、活動に対する資金の問題、スポンサー確保の問題がある。
11年春、このグループは、ロンドンで開催予定の年1回の国際会議で成果発表を予定している。
Bコミュニケーション・行政関係ワーキンググループ
GFSIの活動をアピールする小冊子、本、書類などを作成し、関連政府機関への働き掛けを行い、GFSIウェブサイトの改善、有効活用など、コミュニケーションの向上を図る活動を行っている。
GFSIニュースレターは年に4回発行されており、現在は10年4月号がアップロードされている(ウェブサイト1)。

◆現在の進ちょく状況と成果
01年に開かれたGFSIジュネーブ大会の参加者は100人だったが、10年2月のワシントン大会では79カ国から675人(日本からも最大の22人)が参加し関心が高まっている。
現在、さらにGFSIを戦略的な取り組みとして見る動きが出てきている。例えば、米国では行政とコミュニケーションを強化し、新食品安全に対する法律をGFSIと連携して制定するロビー活動が行われている。
ヨーロッパでも小売り側で監査にかかわるコストが90%削減し、メーカー側では平均監査数が13回から3回に減り、関連するコストも平均380万円削減できるなどといった成功事例が出始めている。
◆日本国内の動向
フォーラムの日本会員は65社に上る(図10)。GFSI自体の認知はまだ進んでいない状態だが、一部の外資系企業ではその活用を進めているところもある。なお、GFSIが承認している食品安全マネジメントシステムとして、SQF2000や、グローバルGAPなどの認証取得が一部の企業で行われている。The
Consumer Goods ForumではGFSIのイベント開催を下記のように予定している。



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